GW突入

  1. GWの始まりは東京へ。

快晴で飛行機の窓から下に美しい富士山が見えた。

この3月夕陽に輝く富士山を見たくて西伊豆に出かけたけれど残念ながら見ることが出来なかった。

そこにあるはずなのに姿は見せてくれなかった。

夫が亡くなった翌月にも富士山を見に行った。夫が行きたいと言っていた富士山を私が見に行こうと。

あれから富士山を見ると夫を思い、だから見に行きたくなる。

見えなかった西伊豆旅行からちょうど1カ月。

下から必死に探していた富士山を飛行機の窓から見下ろした。

なんとも言えないオーラ。ここにいるよという存在感。

美しいなあと思いながら涙が出て困った。

貴方はいつもこうやって上から見ているんだね。自由に飛び回っているんだね。

夫が自由でいること夫がきっと幸せでいること楽しんでいることを思って泣けた。

貴方はもう病気ではなくて点滴や呼吸器や様々な管は貴方の行動を縛らない。

貴方は今も幸せで、貴方の人生は幸せだったとそう思えた。

そしてポールマッカートニーのライブへ。

ポールが場所をピアノに移し「妻のために作った」という「マイバレンタイン」を弾き歌い始めると込み上げてくる物を止めることが出来なかった。

自宅のリビングで行った夫のお葬式に使った音楽。夫を送るパーティの間、このCDが流れていた。夫がいい音で音楽を聞きたいと言ったことから夫の退院を思ってオーディオを整えた。

ポールのCD買ったよ、と言うと早く聞きたいなあと言った。

あの日貴方が目を閉じて(本人はもう体にはいなかっただろうけど)聞いていた音楽をこうやって聞ける幸せを思った。

貴方も自由になり、私にも自由になりやと言っている。ありがとう、もうええよ、自由にしてや、ゆっくりしてや、と貴方の声が聞こえる。

飛行機から見た富士山もこのライブも、こんなに自由で幸せなのも夫がくれたプレゼントなのだと思えた。

ホテルにチェックインすると富士山が見える方のお部屋ですと言ってくださる。

夫が亡くなってすぐにこのホテルを利用した時に部屋から富士山が見えた。それに感動してホテルにお手紙を残したところご丁寧にメールをいただき、その後はいつも富士山が見える方のお部屋を用意してくださる。

残念ながら今回は見えなかったけれど、その心遣いに感謝した。

そして見えなかったけれど私が上から見たようにそこにあるんだよなと実感した。

見えることが全てではない。

見えないけれどそこにある、と星の王子様のせりふも思う。

貴方も見えないけれどそこにいるのかもしれないね。

私が生きていて貴方を思った時はそこにいるのだろうと思う。

富士山もポールの歌も夫からの贈り物としてしっかり受け止めておこう。