唐芋餠(からいももち)
仕事帰り、駅の期間限定の出店に「からいも餠」があった。
わー懐かしい、と胸がキュンとなる。
鹿児島の隼人町にあった祖父母の家でよく食べた。
鹿児島ではさつまいものことをからいもという。
祖母の兄の家には広〜い土間があってそこに沢山の人が集まって餅つきをした。
まだ幼稚園くらいだったからかなり昔の記憶だけど20人くらいの大人がいて、その土間にある大きなかまどでは小豆も炊いていた。
そこにつながる広い和室に沢山のオカモチを並べてつきたてのお餅を丸める。
熱くて大変だけど子ども心に楽しかったな。
で、最後は蒸したからいもとお餅を一緒につく。
その柔らかいからいも餠はその場で食べる。
お皿に入れてもらいそこにゆでたての小豆をかける。
すんごく美味しかった。
懐かしいなあ。
私はよく祖父母の家に泊まりに行っていた。
縁側から堤防までなあんにもなくて、桜島とその手前の小島が綺麗に見えた。
柿の木や梅の木の下にテーブルを出しておやつも食べた。
豊かだったし、何より私を100パーセント受け入れてくれる祖父母がいた。
怒られたこともなくいつまでもおんぶをしてくれて、一緒に寝てくれた。
猫のタマとシロは、掘りごたつの中でのんびり寝ていたし、本家にいた大きな犬のクマは、クビに巻いた物を持ってくるお使いのできる賢い犬だった。
おばあちゃんは、近所にいた牛ともよく話をしていた。
私にはその牛の言葉はわからなかったし怖いからあまり近づかなかったけど(笑)。
祖父母から本当に大事にされたなあ、愛されてたなあと今思う。
父が自死をしてから鹿児島が大嫌いになった時期もあったけど、やっぱり幼児期のあの全面受け入れが私には大きな財産なんだなあと思う。
そして鹿児島のこと嫌いになってごめんね、とも思う。
今は復活したから。
鹿児島には罪がないもんね。
そんなこんなを思い出して懐かしくて幸せなお茶の時間だった。
あ、夫にもおすそ分け。
写真を置いて一緒に食べた。
これが私の故郷のからいももちだよ。