「燕は戻ってこない」
「燕は戻ってこない」
という、
NHKのドラマがスタートした。
テーマは代理出産。
初回から引き込まれ、
原作を一気に読んだ。
作者は桐野夏生。
その文面から繰り返される、
ひとつの問いがある。
命は誰のもの?
ある夫婦が貧しく若い主人公に、
代理出産を依頼する。
合法でないその行為は、当事者全員に容赦なく、割り切れない思いを反芻させる。
命は誰のもの?
生まれてくる子は。
卵子と子宮を提供した、
主人公のものだろうか?
それとも、依頼者の夫のもの?
不妊に苦しみ、それでも子を得たいと望む依頼者の妻のもの?
命はそのひとのもの、
という答えがある。
では、なぜわたしたちは、
自ら逝った親しい人を、
責めてしまうのだろう。
生まれた命がそのひとのものだとしたら、その権利はないはずなのに。
わからない苦しさが、頭を巡る。
小説のラスト、主人公の独白が、
救いのように感じて終わった。
長野