ふと悲しくなる
学校での何気ない会話。
バイクのもらい事故で念のために入院したという先生。
復帰されお元気そうで何よりだ。
「いやー、人生初オムツでした!いやでしたわー」
「赤ちゃんの時してたし、いずれみんなするやん」と私。
いやー、早いですやん!とみんなが笑いながらの会話。
ただそれだけ。誰も悪くない。
放送委員の児童が横で海外から来られている先生にインタビューしている。
「好きな歌はなんですか?」
「木蓮の涙です」
そんな歌あるんですか?児童や担当の先生が言っている。
会いたくて会いたくて、で始まる歌だ。
そして、ずっとそばにいると言っていたのにあなたは嘘つきだね、という歌詞。
私はいつも夫を思う。夫は嘘つきではなかったけれど。
そんなことを横で思いながら話が聞こえてくる。
「好きな理由はなんですか?」と児童。担当の先生は恋人の歌かなあ、そのへんちゃんと聞こうや!と笑う。
インタビューされている先生も笑いながら何か答えている。
ただそれだけだ。
誰も悪くない。
誰も悪くないのに泣きたくなる。
「もう死ぬのに、オムツを交換されるだけでこんなに息が苦しいのや」と、泣いた夫。
会いたくて会いたくての歌詞に胸が痛くなる私。
誰も悪くないのに。
私が胸を痛める歌詞を明るく笑いながら話している。
そう、誰も悪くない。