子供が主人公の映画ってわかりやすくて好きなんですよね。「スタンド・バイ・ミー」や「小さな恋のメロディ」(古いけどみずみずしくて素敵な映画なんですよ〜)なんかはもう好きすぎて、この2本だけは絶対にいつか日本語字幕なしで観れるようになるぞ!と思い立ち、40過ぎてから英語の基礎勉強を始めたくらいです。ま、最近サボってますが・・。
イラン映画なんかもいいのがあって、「友だちのうちはどこ?」や「運動靴と赤い金魚」あたり、めちゃくちゃ良いですよ。気になる方はぜひチェックを。

前置きが長くなりましたが今回挙げたいのはイギリス映画の「リトル・ダンサー」。原題は〝Billy Elliot〟。
バレエダンサーを目指す11歳の男の子の話です。
1980年代のイングランド北部の小さな炭鉱町ダラム。主人公のビリーはすでに母を亡くし、炭鉱夫の父と兄のトニー、そして目を離すとすぐどっかに行っちゃう認知症の祖母と4人で暮らしています。
当時のイギリスは炭鉱不況とストライキの真っ只中。父は気が荒く、兄もいつもイラついており何かとビリーに冷たく当たってくる。
男は男らしく、という父の考えでボクシングを習っているビリーでしたが、殴り合う特性のボクシングにビリーはあまり魅力を感じてません。
そんな時、練習場のすぐ近くでバレエのレッスンをしている女の子達を見かけます。もともと音楽好きなビリーはすぐに興味を持ち、バレエのレッスンに参加し始める。
しだいにボクシングよりバレエの練習に夢中になり、バレエ講師のウィルキンソン夫人もビリーの才能を見抜き、熱心に指導するように。

ところがビリーがボクシングそっちのけでバレエに夢中なのを知った父は大激怒。ストが長引いて失業中の中、なけなしのお金でビリーをボクシング教室に通わせていたためと、あとは「男がバレエなんざみっともないマネするんじゃねぇ!!」という、昔のオヤジの価値観ってやつ。
ウィルキンソン夫人が父を説得するも、「ビリーをあんたのお遊びの道具にしないでくれ」と一蹴。
ストは激化し、活動のリーダー格だった兄のトニーは逮捕されてしまいます。父はやけになって妻(ビリーのお母さん)の思い出が詰まったピアノを燃やしてしまうし、そんな家族の不協和音に、ビリーは鬱積した感情を全て吐き出すかのように踊り狂うのだけど、その時初めてビリーの踊る姿を目の当たりにした父は、ビリーの非凡な才能をはっきり確信するのです。

ビリーの未来を奪っちゃいかん、自分のような人生を送らせてはいかん!!と思い直した父は、スト破りの列に並び、ビリーがイギリスの名門、ロイヤル・バレエスクールを何とか受験できるよう、お金の工面に奔走します。事情を知った炭鉱のスト仲間やボクシングジムのコーチなどが次々にカンパしてくれて・・ここからのシーン本当に泣ける。
あとは実際にご覧ください。これはDVDもちゃんと出てますよ!(笑)

この映画の何に感動したかというと、お父さんがちゃんと変わってくれるところ。自分が間違っていたんだと、ちゃんと気づいてくれるところ。
私、親はこうであって欲しいなぁと、この映画を観るたびにしみじみ思ってしまうのです。
無骨でも不器用でも、いわゆる労働者階級ってやつでも何でもいいから、子供の本当の思いや可能性を否定しないで、ちゃんと邪魔しないでいてくれる。そしてここぞという時に、ちゃんと頑張ってくれる。
もし間違っていたら自分は間違っていたんだと、時間はかかってもちゃんと認めて改めてくれる。
頑固ですぐに手が出るこのお父さんとお兄ちゃん、最初は本当に嫌だったけれど、おばあちゃん含めだんだんいい感じで丸くなっていく家族に、最後は涙腺崩壊でした(泣)

あ、誤解のないように言いますと、コロナの影響で今こそ家族の絆とか家族力とか色々言われている昨今ですが、そんな言葉に踊らされての事ではありません。
私がこの映画で泣けた本当の理由は、単純に家族が良かった云々の場面ではなく、「うちの親もこんなふうに子供と向き合ってくれる人だったらよかったな」という、私個人の叶わなかった願望を、この映画で勝手に擬似体験できた気がしているからです。
家の外では陽気で良い人だった父だけど、自分以外は女ばかりという家族の事はどこか下に見ていたので、その言動や振る舞いに子供時代からずいぶん傷つき、苦しみました。

そんな土台があってか、今の私が子供を含む他者に対してこうありたいといつも思うのは、その人の持つ力や可能性を〝奪わない〟側の大人でいたいという思い。
支援とか後押しとか、そんな大それた活動じゃなくて、他人の力を奪わず、誰かが幸せになろうとする可能性やそれに必要な葛藤も含めて、けして邪魔しないでそこにいられる人。

コロナや、またSNSの誹謗中傷の悲しいニュースを通しても、つくづく思うんですね。
文句を言うのは簡単。言葉で人を傷つけて力を奪うのは簡単。
理不尽な問題と戦うのと、安全圏から(正義の名の下に)人や物事を中傷するのって、全然価値が違うよなぁと。
その辺り、勘違いしない大人でいたいものです。
映画の話に戻りますが、だからあれだけ頑なだったお父さんがビリーの為に必死で状況を変えようと奔走する姿に、めちゃくちゃグッと来ます。
あー真っ当に戦うって、ちゃんと向き合うって、こういう事なんだなぁと。
本当におすすめです。

長々と読んで下さりありがとうございました。ではまた。